※記事に記載されている店舗情報やプラン内容は変更されている場合があります。詳細については公式ホームページやお電話等でご確認ください。
目次
新潟県内出身の若手 画家・酒店・蔵元がコラボレーション
日本酒「On The Table(オンザテーブル)」は、「日本酒をテーブルに、のせる」をコンセプトに現代の食卓を考え、日本酒とアートのコラボレーションを目指しています。
ラベルデザインは県内出身の若手画家
ラベルのデザインを手がけたのは、新潟県妙高市出身の若手画家 青木隆太さん。
東海大学工学部航空宇宙学科で宇宙工学や宇宙科学を学んだ後、芸術家として活動を開始。宇宙の中の存在、ミクロとマクロの世界の見つけることができる繋がりを美しく表現した作品は、これまでに東京や米国ヒューストンで展示されてきました。現在は富山県の高岡市に拠点を置き、積極的に制作活動を行なっています。
日本酒On The Table(オンザテーブル)
そしてプロジェクトに参加してお酒を醸造したのは県内の3蔵。
(どの蔵もとっても美味しいお酒を造っていて、一つ一つご紹介したいところではありますが、それは今度にして……)
写真左から
・千代の光酒造「雪解け-yukidoke-」
・竹田酒造店「潤い-uruoi-」
・頚城酒造「実り-minori-」
価格:720mlのみ2,000円(税別)
それぞれ、マスカットや白桃、柑橘系のような味わいをもった微発泡の日本酒です。
このプロジェクトとラベルやお酒について、詳しくお話を伺ってきました!
実行委員長 寺田和広さんにインタビュー
プロジェクト実行委員長を務めますのは、新潟亀田わたご酒店店主 寺田和広さん。
寺田さんは東京に進学後、お酒の卸売業へ。そこで地酒を知り東京の酒店へ転職。
その後、新潟にUターンし2017年末に祖父が経営していたわたご酒店を継ぎました。
東京で培った卸と販売のノウハウを活かし、新潟地酒ほか、県外酒にも力を入れています。
また、販売だけにとどまらず、角打ちイベント「カメカイ」やイベントのプロデュース、日本酒セミナーの開催や雑誌の編集など…日本酒普及の為、幅広い活動を行なっています。
「On The Table」プロジェクトとは
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奥谷
プロジェクトについて、発足のきっかけや経緯について教えてください。
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寺田
発足時期はちょうど一年くらい前(2018年)になります。僕自身、新潟に戻り、チャレンジしたいことが明確になってきた時でした。
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奥谷
具体的にはどんなチャレンジですか?
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寺田
一つは、(勉強の為)酒蔵さんを回るうちに、炭酸ガスを残したお酒を造ることが出来るということが分かりまして、一部のお酒を炭酸ガスが残るようオーダーさせてもらっていました。
この炭酸ガスというのは、量販店に置いてある“スパークリング日本酒”のような泡ではなく発酵の際に生成される自然の炭酸ガスなので、非常にきめ細かく上品な泡なのです。この泡が造り出す味わいを出来るだけ多くの方に楽しんでもらいたいな、と思っていました。 -
奥谷
発酵の際に生成される自然の炭酸ガスって、日本酒造りでよく見る…醪が発酵する時にブクブクってなっているアレですね?
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寺田
そうです(笑)
そしてもう一つは、青木さんの画を使用したラベルのお酒を造りたいと思っていました。彼と知り合ったのは三年ほど前になるのですが、千代の光酒造さんのお酒、「K」シリーズのラベルを青木さんが書かれておりまして、東京で開催したイベントでご一緒させて頂いたのが始まりです。 -
奥谷
Kシリーズは、ラベル、味わいとも私も大好きなお酒です(笑)県内外、多くのファンがいるお酒ですよね。
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寺田
青木さんの手がける作品を見たとき、凄く引き込まれました。不思議な力を持っていると感じ「ラベルにしたい!」と思うようになりました。
そんな中、僕も結婚して友人と家で飲むことも多くなりまして…
テーブルに座って一升瓶の日本酒を用意すると、注ぎづらいし、相手の顔が見えなくなってしまうと気づきました。
あと、友達を呼ぶと料理もちょっと凝ってみたりするんですが、そういう時、テーブルにあっても場を乱さないのってワインのボトルだったんです。
その理由の一つは、ボトルが四合瓶と同じくらいの750mlであったこと。もう一つは、ラベルの文字が横文字だからだと思ったんです。
日本人の僕らからすると、やっぱり日本語って無意識のうちに認識してしまいますよね。
よくテーブルの上に置いてあるお醤油なんかのラベル“しぼりたて〇〇〇”みたいなのは分かりやすくて良いのですが…… -
奥谷
言われてみれば、ついつい読んでしまいます(笑)
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寺田
そうなんですよ。例えば、オシャレなハンバーガーの包み紙が横文字だからオシャレでスルー出来るけど、あれが日本語だったら日本人の意識は全部文字にいっちゃいますよね(笑)
なので、食卓では料理やゲストとの会話に集中したいなぁと思っていたところから、「炭酸ガスを残し」「青木さんの画を使った」「テーブルに置きたくなる」日本酒を造ろうと考えたのがこのプロジェクトの始まりです。 -
奥谷
お酒のプロとしての目線と、いち消費者としての目線が合わさって出来上がったプロジェクトというわけですね。
ラベルデザインについて
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奥谷
では、コンセプトの一つであるラベルデザインについてもう少し詳しく教えてください。どういったところから描かれた抽象画なのでしょうか?
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寺田
青木さんと一緒に蔵と周辺風景を視察しました。仕込みの時期に各蔵をまわり、どのようにして日本酒が出来上がるのかを見てきました。特に蔵のある地域環境や、蔵元が目指すものにフォーカスしました。
また、搾ったお酒を試飲してもらい、作品のイメージに繋げて頂きました。
ラベルを実際に触ってみると凸凹しています。
(撫でるのが癖になる感じ♥)
どんな技法で描かれているのか、画家の青木隆太さんにもお話を伺ってみました。
青木:日本画とアクリル画の両方の技法を掛け合わせ、独自に編み出した技法です。画材として使用するのは典具帖紙と言われる大変薄い和紙や、麻のキャンバス。絵の具には日本画の顔料などで使われる松を燃やした煤(スス)、アクリル絵の具や樹脂などを用いています。
描き方はキャンバスを水平に寝かせ、その上に和紙を敷き、さらにその上から絵の具を落としていきます。絵の具が和紙をキャンバスに表面張力や毛細管現象で浸透していき、自然の力で独特な模様が浮かび上がってきます。
乾くまで最終的な模様がどのように現れるか分からない点は、陶芸の釉薬が作り出す工程に似ていると感じています。
画材の他に、気温や湿度が模様を決める重要な要素になりますので、三つの酒蔵さんのお酒造りと同じく、新潟の気候が作り出す作品とも言えるでしょう。
なんと!ラベルの「画」そのものがお酒と同じく、新潟でしか生まれないメイドイン新潟だったとは!お酒のラベルをスクラップしている人や額にしてインテリアにしている日本酒ファンも多いんです(はい、私です)
貴重なお話、ありがとうございました。
蔵元談
今回、コラボレーションした蔵元さんたちからもコメントを頂いているのでいくつかご紹介します。
竹田酒造店 10代目 竹田春毅さんより
・日本酒の価値をより多くの人に伝え、理解してもらう必要があると考えます。特に若年層へのアプローチは様々な取り組みをしたい。
今回の「視覚」から入っていくのは良い試みだと思います。まずは手に取ってもらわないことには始まりません。興味を引くというのは大事なことですので、そのキッカケになって欲しい。
・商品として三つ並べた時は凄いカッコイイし鮮やかだなと思いました。もし自分が消費者なら三つとも買ってそれぞれ飲み比べてみたいです。
頚城酒造 社長 八木崇博さんより
・新しい日本酒ファン獲得のための素晴らしいチャレンジだと思いました。複数蔵でスタートすることに意味があると思いましたし、その一員に加えて頂きとてもありがたいです。
・日本酒の価値をより多くの人に伝え理解してもらう必要があると考えます。
このプロジェクトは、継続して広げていき日本酒の価値をより多くの人に理解してもらえるよう頑張りたいです。
千代の光酒造 8代目 池田剣一郎さんより
・通常、新製品のラベルや全体のデザインをどうするかは大きな懸案事項ですが、アート性の強いものは蔵単独ではなかなか出てこない(出せない)。コラボレーションの良さが出た魅力的な商品になったと思います。
・手に取ってもらうからには、がっかりさせないような良いお酒造りを目指し、改善を繰り返していきたいと思います。
……たくさんのコメント、ありがとうございました!
味わいについて
では、実際。どんな味わいのどんなお酒であるのか、寺田さんにもう一度お聞きしてみましょう。
(スペックが非公開なので、できればそのあたりを突っ込んで……)
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奥谷
味わいのコンセプトが「食事を楽しむ微発泡純米酒」ということですが、もう少し具体的にどんなお酒なのか教えてください。
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寺田
微発泡の純米酒(規格)です。搾りたてのお酒を出来るだけ早く瓶詰めしてもらうことで発酵の際に生まれた自然の炭酸ガスを含んだ味わいになっています。
もちらん、炭酸ガスは段々と抜けていきますが、ガスが抜けるとまろやかな味わいにまとまっていきます。
お酒に対する先入観が生じないように、精米歩合や特定名称は非公開とさせて頂いています。 -
奥谷
もう少し具体的なアピールポイントがあれば教えてください!
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寺田
ターゲットは、元々の日本酒ファンに加え、30~40代の男女です。
先ほどお話した、友人と家でお酒を飲む…という話になりますが、日本酒を普段飲まない方からすると、炭酸ガスが絡んだ日本酒は新鮮なようで…もっとも発酵の際に炭酸ガスが生まれることも知らないので、そういう方々にとっては新感覚なのだと思います。
炭酸ガスが入ったお酒というのは、市場にもたまに出回っていますが、この商品は全て炭酸ガスを残しています。
現在、販売しているものは生酒ですが、秋口には火入れバージョン(※)もリリースします。 -
奥谷
味わいの説明には「マスカットや白桃を思わせる…」とありましたが、日本酒がフルーツのような味わいを醸し出すのは吟醸造りならではですよね?販売価格と合わせて考えると…純米大吟醸規格ですか?!
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寺田
ノーコメントです(笑)
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奥谷
(手ごわい…)
では、どんなお料理と相性が良いのでしょうか? -
寺田
ラベル自体にも和洋の要素があるのですが、お酒も和食から洋食まで合わせられると思います。逆にお料理とのマリアージュを提案しません。もちろん日本酒とお料理のマリアージュやペアリングというのは非常に面白いのですが、家族や友人と呑むときはそこまで難しく考えなくてもいいかな?と思いまして、日本酒自体が他のお酒に比べると、様々なお料理を包括できるお酒なのではないかと思います。
実際に、日本人の食卓にはお魚やお肉料理、野菜など食材や味付けの様々な料理がのぼっています。丁寧な懐石料理やフルコースであれば、一皿ずつの料理とのペアリングは必須になるかもしれないですが、今回の三本はタイプは違えど、様々なお料理と楽しんでいただけるお酒に仕上がっております。 -
奥谷
(これはもう、実際に飲んでみるほかないですね!)
※お酒を加熱殺菌すること。火入れをしていないお酒のことを生酒といいます。
今後の展望は?
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奥谷
最後に、プロジェクトの今後について教えてください。
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寺田
On The Tableには、もう一つの意味があります。それは「議論中」「検討中」という意味です。
私たちも探りながら、自分たちの時代の答えを探していきたいと思っています。
まだまだ実験的なところで、違う切り口から新しい層の日本酒ファンが増えてくれたら嬉しいです。県外のお客様には是非とも手土産としてお手に取って欲しいですね。
さいごに…実際に買って飲んでみた!
いち日本酒好きとして(お仕事抜きで)実際に飲んでみたくなっちゃいましたので、わたご酒店さんで購入することにしました。
素敵な店内ですね。
お酒だけでなく、新潟の名産品もあります。
3種飲み比べてみたいところですが、今回はラベルデザインでビビっときたものをチョイス!
日本酒だって、ボトルデザイン重視で選んでも全然OKです。
私は竹田酒造店の【潤い-uruoi-】を選んでみました!
さっそく自宅で乾杯♪
舌の上で感じる、きめの細かい繊細な泡は食中酒にしても飲み飽きしません!
え?味わい?!
それは……
ノーコメントにしておきます(笑)
ですが!!
とっても美味しいです。
日本酒に馴染みがない方には、チャレンジする入口としておすすめできちゃいます。
そして日本酒好きの方、スルスルいっちゃいますので飲みすぎに注意です(笑)
新潟土産、プレゼントはもちろん、ホームパーティやお酒の持ち寄り会で大活躍すること間違いなし!
皆さまも、自分の感性にビビっときた一本を手に取ってみてはいかがでしょうか?
購入方法・お問い合わせ
【販売店】
新潟亀田わたご酒店
住所:新潟市江南区亀田四ツ興野2-3-3
電話番号:025-382-5777
営業時間:平日10:30~19:00 土日祝日10:30~18:00
※オンラインショップはHPより
URL:https://watago-sake10.jimdofree.com/
新川今田商店
住所:東京都中央区新川1-10-10
電話番号:03-3551-5885
営業時間:平日12:00-20:00 第2・4土曜12:00-18:00
定休日:第1・3・5土曜・日曜・祝日
URL:https://imadashouten.buyshop.jp/
On The Table実行委員長
新潟亀田わたご酒店 寺田和広
watagosaketen@gmail.com
※記事に記載されている店舗情報やプラン内容は変更されている場合があります。詳細については公式ホームページやお電話等でご確認ください。