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目次
茶葉販売のかたわらジオラマを作る北川裕子さんにインタビュー
新潟市中央区本町人情横丁で烏龍茶・国産紅茶販売『ピュアウーロン』を営む北川裕子(キタガワヒロコ)さん。
会社員を経て茶葉の販売を始めたのは15年前。
その後すぐ、2004年に人情横丁でお店を構えます。
現在では茶葉の販売に加え、お茶の講習会を行うなど、地域の人たちとともにお茶文化の普及に努めています。
さらに、北川さんはジオラマ作家としても精力的に活動中。
自身のお店のある人情横丁の店舗のジオラマを制作し、商店街をPRしています。
お茶にジオラマ……不思議な組み合わせだと思いませんか?
どうしてこういうお仕事をされるようになったのか、とっても気になります!!
ということで、お話を聞かせてもらうべく、いざ!人情横丁・『ピュアウーロン』へ!
人情横丁は今でも正式な番地がないディープなスポット
はい。ではここで、人情横丁がどんな場所なのかちょっとだけ補足しますね。
人情横丁は正式名称を「本町中央市場商店街」といい、戦後すぐの1951年(昭和26年)に設立された、市内で最も古い商店街の一つ。
新潟駅から万代橋を渡り「ぷらっと本町」を抜けたところにあります。
現在は埋め立てられて分かりませんが、この場所はかつて堀でした。
なんと今でも正式な番地がありません。
(番地がないなんて今まで知らなかった!!)
お茶は趣味だったカフェ巡りの延長
それでは、さっそくお話を聞かせていただこうと思います。
それにしても、お茶にジオラマに、気になることがたくさんあり過ぎて何からお聞きすればよいか迷ってしまいます。
ー 北川さんは元々会社員で、その後茶葉の販売を始められたんですよね?
なぜ、茶葉の販売だったのでしょう?
北川さん:OL時代、カフェが好きでよくカフェ巡りをしていました。東京に本社がある会社だったので、東京のカフェもよく行っていましたし、海外のカフェにもいろいろ行きました。要は、趣味の延長ですね。
そしてお茶の資格を取って会社を辞めて、2年間アルバイトしながら様々な飲食店の方と出会い勉強させてもらって、2003年に新潟地下街西堀ローサの「よりなーれ」にお店を出しました。
その半年後くらいに人情横丁に移ったんです。
ー なるほど!人情横丁にお店を移したのにはどんな理由が?
北川さん:よく聞かれるのですが単純に家賃が安かったからです(笑)
ジオラマは知人の一言がきっかけで
ー もしかしてジオラマも趣味の延長だったとか??
北川さん:趣味は何ですか?と聞かれると、私、細かいチクチク作業が好きなんです。あと、とにかく自分で何でもやってみるのが好きですね。だから、店内の内装とかも自分でやっています。
ー なぜ、選んだのがジオラマだったんでしょう?
北川さん:きっかけは、知人がお店に来てくれた時に
「浦安橋見てきたけど、全然分からないよね。もう少し昔の様子がわかるように模型か何か作ってみたら?」
と言われて。
でも、業者さんに作ってもらうとお金がかかるし、それなら、自分で作ってみようと思ったのがきっかけです。
ー すいません。浦安橋ってどこにある橋ですか?
北川さん:すぐそこにあるんですよ!と言っても今は親柱と欄干しかないですけどね(笑)
じゃあ私も見ているハズなのに気付かなかったってことですね(汗)
ということで見に行ってみることに!
新潟市民文化遺産に認定されている浦安橋の遺構
教えてもらった場所に行くと、ありました!
イトーヨーカドーの入口のすぐ近く!
(この通り、何度も通っているのに、全然目に入ってなかった…)
かつて130を超えた新潟市の堀に架かる橋のうち、唯一、橋の遺構物が一体になって残っているモノなのだとか!
そしてこちらが、北川さんが作ったジオラマ第一号の浦安橋です。
かつての姿が、鮮やかに表現されています。
ありがとうと言われたことが嬉しかった
ー この浦安橋のジオラマを作って、面白いと思って続けようと?
北川さん:自分が作って面白いというよりは、周りが面白がってくれました。
歴史好き、模型好きの方々が見に来てくれて人脈も広がったし、もちろん、達成感も感じたけど、再現したことで「ありがとう」と言われたことが単純に嬉しかったですね。
この橋の近くに、無意識に柳を植えたんですけど実は本当に柳があったと、作った後におじいちゃんが実際の写真を見せてくれて、そういうのも面白いなって。
ー 現在まで、どれくらい制作したんですか?
北川さん:人情横丁にある7つの店舗と、本町にある田中屋さんの計8店舗です。
人情横丁を全部作るのも面白いと思うけど、ジオラマを作る際にいろいろなお店を観察していたらそのお店の個性に気づいて、6番町のお店も個性があって面白いなって気づきました。
北川さんの製作するジオラマを見せていただきました。
店内のポスターなど細かいところも再現されています。
材料は100円均一や自宅にあるもので作製。製作費はそれほどかからないのだそうです。
実際の田中屋さんの店舗とジオラマを比べてみても、素晴らしい完成度です!
人情横丁の魅力とは?
ー ということは、ここでお店を出してジオラマ作りをしてから、改めて人情横丁の魅力に気がついたのですか?
北川さん:はい。ここはまだ私たちの親世代が現役でバリバリやっていますから、年功序列な面もあるんですよ。
だから、歳下の人を注意したり、子供が騒いで危ない時も注意したり……昔ながらのあったかいコミュニケーションが残っているのは逆に住みやすいのかなって。
ー 今はそういう人間関係が煩わしいと思われがちですよね。
北川さん:確かに、良い部分だけではありませんよ(笑)でも、人間関係って結局どこへ行っても同じだと思うんですよ。
人情横丁の魅力って、一箇所に雑多なお店がたくさんあるところだと思うんですよね。
営んでいる人たちの世代がバラバラだったり、業種も違うんですよ。
雑貨もあれば食品もあって……そういうところまで、ジオラマを通して紹介できたらいいなぁと思います。
「こんなお店もあるんだよ!」って教えたいんです。おせっかいかもしれないけど(笑)
北川さんの作るジオラマを実際に拝見して、温かみを感じましたし、親近感も覚えました。
きっとそれは、人情横丁はきれいで良いところだけではないことを知っている、北川さんが作った景色だから。
北川さんの目に映る風景がジオラマに投影されることで、私たちもその風景を共有できるようになるのでしょうね。
ー 次の構想があれば教えて下さい。
北川さん:人情横丁の店舗の数をちょっとずつ増やしながら、6番町のお店や新潟で古くから頑張っているお店を作ってみたいと思っています。
ー とっても楽しみです。お店にはジオラマを見に来るだけでも大丈夫なんですか?
北川さん:はい、大丈夫です。いつでも見に来て下さい。
お茶についても教えて下さい!
せっかくですので、お茶についてもお話を聞いてみたいと思います。
秋葉区はかつてお茶の産地だった!?
ー ところで、お店にある「あきは紅茶」というのはなんですか?新潟の紅茶と言えば、パッと思いつくのが村上の雪国紅茶なのですが……
北川さん:村上も有名ですが、実は秋葉区(旧新津市)もお茶の産地だったんですよ!
ー え?そうだったんですか?新津は石油と鉄道の街だと思っていました。
北川さん:新津のお茶の歴史は古く、江戸時代に宇治から茶の種が持ち込まれ栽培が始まったと言われています。当時から変わらない在来種のお茶なんですよ!
明治初期には生産のピークを迎えますが、やがて石油や他の産業が発展して、お茶の勢いはなくなりました。でも小口地区をはじめ、茶畑は残っています。
現在は販売というより新津茶の栽培を伝承していくため、子供たちに茶摘みなどの体験学習が行われています。
ー すみません。全然知りませんでした。というか、お茶と紅茶の葉…樹?は、別なのでは??
北川さん:お茶も紅茶も同じ葉ですよ(笑)摘んですぐお茶にすると緑茶、発酵させると紅茶になります。
ー ええええ!!本当ですか?初めて知りました!お恥ずかしい。
北川さん:大丈夫です。講習会でも驚かれる方が多いですから(笑)
(ホッ。私だけじゃなくて良かった)
北川さん:あきは紅茶は2014年から作り始めました。
紅茶だったら、若い奥様たちも飲んでくれるかなって思って。
でも、年間1kg前後の生産しかないので販売用としては殆ど残りません。
それでも、お茶は地域の文化を伝えるものですから、はなくてはならないものだと思います。
実際にあきは紅茶を飲んでみた!
そんな希少なあきは紅茶ですが、北川さんのお店で購入することができます。
私も実際に飲んでみました。
まろやかな甘みがあって渋みがないのが特徴で、透き通る感じ!
上品です。
良い家にお呼ばれした時に出される紅茶って感じ(笑)
こんなに美味しい紅茶がなくなってしまうのはもったいない!!
もっともっと多くの人に飲んで欲しい!!
お店では、あきは紅茶の他にも、北川さんの畑で摘んだ茶葉からできた紅茶も販売しています。
北川さんのお店で、自分好みのお茶・紅茶を見つけるのも楽しそうですね♪
さいごに
皆さま、いかがでしたか?
今回のインタビューを通して、人情横丁に番地がないことや、浦安橋の存在や、お茶のことなど……今まで知らなかったお話をたくさん聞くことができました。
新潟にはまだまだ面白いもの・面白いことがたくさんあります。
北川さんとお話しして、新潟の良さを再発見しました。
そしてもしも叶うならば、新津の美味しいお茶や紅茶が復活して、いつでも飲めるようにならないかなぁと切に願う次第です。
烏龍茶・国産紅茶販売ピュアウーロン
住所:新潟市中央区本町通6番町中央市場商店街内
電話番号:025-225-5312
URL:https://ameblo.jp/ochayasan2005/
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