永住者視点 #01 ル・タン・メルヴェイユ 佐藤徹夫(オーナーパティシエ)

新潟市小針にある洋菓子店「ル・タン・メルヴェイユ」のオーナーパティシエの佐藤徹夫さんは、東日本大震災を機に福島県から新潟へやって来た“新潟永住者”です。オープンして2年という若いお店でありながら、クリスマスには300台のクリスマスケーキを完売、今年のバレンタインデーは期間中に1300箱(約6000粒)のボンボンショコラを完売、そして発売開始からたった4日で200箱の生チョコを完売したという人気ぶり。グルメが多いと言われる新潟で成功した秘訣と“永住秘話”を教えて下さいました。

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※記事に記載されている店舗情報やプラン内容は変更されている場合があります。詳細については公式ホームページやお電話等でご確認ください。

新潟市小針に突然あらわれたモダンな洋菓子店

APITA小針店のすぐ横にある一見目を引く板チョコをモチーフにしたモダンな洋菓子店、ここが「ル・タン・メルヴェイユ」です。閑静な住宅街の中に佇むそのお店の駐車場には、ひっきりなしに車が出入りしています。

「素敵な時間」を意味する店名《ル・タン・メルヴェイユ》

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一歩お店に入ると都会的で優雅な空間が広がっていました。

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ピカピカに磨かれたショーケースに並ぶケーキとチョコレートたち、落ち着いた照明と洗練された印象のバーカウンターとカフェスペース、とてもお洒落です。APITA横なことを忘れそうになります。

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どんな方がここのオーナーさんなのでしょうか。

佐藤徹夫さん:ルーツは福島。東京で11年のパティシエ修業、震災を経て新潟へ永住。

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ー 佐藤さんの新潟永住ストーリーを教えて下さい。

佐藤:
福島県出身で、パティシエを目指して上京しました。東京では、下北沢と代官山の洋菓子店でパティシエを9年、新宿のフレンチレストランでドルチェ担当を2年経験してきました。東京でのパティシエ経験は年数で言うと11年ですかね。それから福島に戻ったんですが、東日本大震災が起こって地元では仕事どころか生活も厳しくなってしまって、今から5年前に親戚筋を頼りに新潟へ家族で移住してきました。

新潟で2年前にこのお店をオープンするまでにはそれなりに苦労しました。新潟という土地は全く未知でしたし、地元福島の県民性とも東京の客層とも違うし、必死でしたし手探りでしたね。もう、土地の確保から外装内装含めた店舗デザイン、仕入れルートなどすべて自分の足で情報を集めて回りました。こんな感じでオープンまでの準備期間として3年はかかりました。

永住者視点:佐藤さんから見た新潟のお客さん

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ー 実際お店をオープンしてみて新潟のお客さんの反応はいかがですか?

佐藤:
新潟の方は、食に対する興味関心のレベルがとても高いと感じました。それはこのようなスイーツという贅沢品にも言えることで、福島にいた頃と比べて平均予算が高い気がしています。ケーキも普段食べるにはちょっと高いはずなんですが、そこまでハードルが高くなさそうな印象です。言ってしまえば、福島は「質より量」に対して新潟は「量より質」を求める傾向にあると思います。

ー 客層において意外性はありましたか?

佐藤:
そうですね。スイーツ業界では購入者の男女比は通常2:8と言われているんですが、当店では3:7で思いのほか男性のお客さんが多いんですよ。実際にいらっしゃるのは、40代前後の男性サラリーマンが1人で買いに来られたり、若い男性2人組もいらっしゃればカフェスペースを利用する「おひとりさまスイーツ男子」なんかも。同じ男性として結構嬉しかったりします。サラリーマンぽい方々は焼き菓子の詰め合わせなど、取引先の手土産として買われることが多いですが、純粋に幅広い客層にスイーツを味わいに来てもらえるのは嬉しいことですね。

こう見えてパティシエなんです

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ー 佐藤さん、失礼ですが職業がパティシエって驚かれませんか?

佐藤:
や、実際そうですね。制服を着ずに普通にしているとたいていガテン系というか建築系とか、飲食系だと思われます。飲食と言っても、ラーメン屋とか居酒屋とか。僕自身は別に嫌な気持ちにはなりませんし、多少の自覚もあります。(笑)

「素敵な時間」のはじまりは選ぶ時間から

店名の「ル・タン・メルヴェイユ」はフランス語で「素敵な時間」という意味。

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ー お店づくりでこだわった点はどこですか?

佐藤:
こういうケーキやチョコレートって日常で無くても生きていけるもの、いわば嗜好品・贅沢品なんですよね。だからこそ選ぶ時間を含めた、良い意味で「非現実感」を味わってもらいたいと考えています。ですので、くつろいでもらえるようなカフェスペースや内装もそうですが、商品の見せ方にもこだわっています。

例えばチョコレートなんかは箱詰めしたパッケージ売りではなく、ショーケースから一粒一粒お客さんに選んでもらえるスタイルにしています。実際に、箱に入れてある状態よりも結果的に合計金額が高くなったとしても、ショーケースから選ぶお客さんが多かったんですよ。例外としてバレンタインデー期間は混雑でお待たせすることが無いようにパッケージにしてしまいますが。

ー バレンタインデーの反響はいかがでしたか?

佐藤:
お陰さまで好評です。バレンタインデー期間のチョコレートはバラ売りをせずに箱詰めしてしまうんですが、期間中に1300箱、粒数でいうと約6000粒が完売しました。生チョコでは2月7日に発売開始してから、4日間で200箱が完売しました。通常ひとつずつ販売しているチョコレートは店内のオペレーションが煩雑にならないようにこの時期だけは箱詰めしておくんですが、それでも当日はひたすら商品をお渡しするだけで精一杯なほどでした。箱が足りなくなるかも、と焦りましたが、本当にありがたいことです。

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大きなショーケースにズラリと並ぶチョコレート。この前に立ってじっくり選ぶ時間はとても贅沢な気持ちになります。優しく待ってくれる店員さんの気遣いも嬉しいところ。

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焼き菓子も充実しています。日持ちがするため手土産など贈答用に人気だとか。チョコレートと同じくバラ売りもありますが、男性や急ぎのお客さんが選びやすいようにギフトボックス入りの詰め合わせも用意。この日もビジネスマン風の男性が箱入りの焼き菓子を購入する姿が見られました。

粒コショウにバジリコ、大葉…レストラン仕込みの個性的なレシピでファン獲得

スタンダードから期間限定のオリジナルメニューまで楽しめる「ル・タン・メルヴェイユ」のスイーツ。限定メニューではアクセントにバジリコ、大葉など通常料理に使う食材を大胆に取り入れています。例えば、夏季限定で「桃×大葉」を組み合わせたケーキ、今なら「栗×洋なし」の組み合わせなど他ではあまり見かけない食材のコンビネーションが楽しめます。この意外性と美味しさの発見にすっかり虜になってしまうお客さんも少なくないはず。

ー レシピにオリジナリティが感じられます。アイデアの源は何ですか?

佐藤:
もともとフレンチレストランの中のドルチェ担当として、メインである料理と同じ現場にいたので、色々な食材や組み合わせに触れる機会が多かったんです。ハーブやスパイスと旬の食材との組み合わせなど、とても勉強になりました。

設立2年という若いお店にもかかわらず連日お客さんが出入りし、クリスマスケーキやバレンタインデーのハイシーズンには驚くほどのペースで商品が完売する。これほどの人気店になった秘訣は、佐藤シェフの東京で磨き上げられたセンスと11年というパティシエキャリアにあると言えそうです。

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「ル・タン・メルヴェイユ」さんの売れ筋を聞いてみました

ー ケーキとチョコレート、どちらが売れますか?

佐藤:
うーん、若干ケーキですかね。比率でいいうと【ケーキ:チョコ=6:4】くらいです。どちらも自宅用や手土産、贈答用など用途は様々です。ケーキも自分用に1つだけ買っていかれる女性のお客さんもいますよ。

ー それぞれの売れ筋を教えて下さい。

佐藤:
ケーキで人気なのは「ショコレーム」という三角形のケーキです。ラム酒とクルミをつかった生チョコのケーキなんですが、これは定番の人気商品ですね。あとは「モンブラン」とか季節的に栗を使ったケーキがよく出ます。チョコレートではビター系なら「グアナラ」でミルク系なら「ロッシェ」です。どちらも同じくらい人気で売れています。

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オープン当時から人気のチョコレートケーキ「ショコレーム」はチョコレート好きも納得のバランスの良さ。しっかりチョコレートの美味しさを感じられるのに、重すぎずペロリと食べてしまえる。甘党男子にも人気だとか。

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秋冬らしい「モンブラン」もこの時期の定番人気。

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ビター系で人気な「グアナラ」は芳醇なカカオの香りを楽しめる、じっくり味わいたい一粒。

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ミルク系で人気な「ロッシェ」は口中に広がるミルクチョコレートの甘みに誰もが笑顔になる。

★佐藤さんのお気に入りはこちら★

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「ショコラポワブル 460円」
濃厚なチョコレートムースの味わいにピリリとスパイシーな粒コショウが絶妙。チョコ好きにはたまらない、ずしりと食べごたえ抜群のチョコレートケーキ。2月末までの冬季限定商品。

「けっこう重たいかもしれません。(笑)おやつの時間に食べるとお腹いっぱいになっちゃうかも。夜、ゆったりした時間に少しづつ味わうのが僕のオススメです。ワインなんかにも合いますよ。」と佐藤さん。

秋の夜長に、濃厚でピリリとスパイスが効いた「ショコラポワブル」をいただきながらワインと映画とか・・・
なんかシックで大人っぽくて、素敵な時間になりそうです。まさしく「ル・タン・メルヴェイユ」ですね。

佐藤さんからのメッセージ

ー 新潟のお客様に伝えたいことは?

佐藤:
いつもご来店いただき本当にありがとうございます!新潟の豊かな食材に旬があるように、当店のケーキにも「旬」があります。その時期に最もおいしい素材を取り入れ、当店らしくアレンジして毎シーズン作っておりますので、ぜひ季節ごとに登場する限定スイーツを味わっていただけたらと思います。オープンからご好評いただいているクリスマスケーキの予約注文も始まりましたので、ぜひよろしくお願いいたします。

★今から旬!冬季限定ドリンク「ホットチョコレート」★

そんな「ル・タン・メルヴェイユ」さんでは11月中旬から冬季限定でチョコレートを贅沢に使った「ホットチョコレート」が発売されます。(3月終了予定)これは今年の夏に好評だった「チョコレートスムージー(6月〜10月上旬)」のウィンターバージョンで、お店のカウンターの前にある専用マシーンで一杯ずつ丁寧に作り提供してもらえます。

店舗情報

住所:新潟県新潟市西区小新5-5-7
電話番号:025-201-2205
営業時間:9:30~19:00
定休日:水曜日・第3火曜日
URL:http://www.l-merveilleux.com/sp/

※記事に記載されている店舗情報やプラン内容は変更されている場合があります。詳細については公式ホームページやお電話等でご確認ください。

この記事のライター

のざわ

夫の転勤で4年前から新潟市中央区に住む2児の母。フリーライターとして新潟のこころ惹かれるスポットを探しては夜な夜な赤ワイン片手に記事を書いています。焼酎が苦手でスチャダラパーが好き。“ほどよい距離感”を心がける34歳ですどうも。

KITAMAE
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